当時は「歯科検診(予防歯科)なんて自分には関係ない、治療技術の追求こそ歯科医としてのあり方だ」と 多くの歯医者さんが思われていた時代です。
それが今では多くの歯医者さんが歯科検診の大切さを説くようになり、「歯科検診からはじめる~」がCMでも流れる時代になりました。
また「健口から健康へ」といったコンセプトが経営理念になっている歯科医院さんも増えました。
そして、これからはお医者さんも歯の大切さを説く時代です。
その理由について記してみました。
歯を守ることの大切さを歯医者さん以外の方が伝える理由
「歯を守ることは命を守ること」
「お口のケアを定期的に行えば、健康寿命が延びる」
「子供のころから歯科検診に通いましょう」
このようなことをあなたが歯医者さんに言われれば、どのように思うでしょうか。
「歯医者さんだから、歯の大切さを説くのは当たり前だよね」
「歯医者も厳しい時代だからむし歯治療以外のことを模索しているのかな」
というように思ってしまうこともあるでしょう。
しかし、これらを歯医者さんではなくお医者さんが言われているとしたら、どのように思うでしょうか?
「お医者さんが何で歯を守ることを言うのかな」
「お医者さんが歯のことを言うのは、何か私が知らない理由があるはずだ」
というように感じ、歯医者さんが言うより興味がわきませんか。
最近では、お医者さんが「歯の大切さ」を伝えることが増えてきています。
それは「歯と身体」「歯周病と糖尿病」「歯周病と出産」などの関係がどんどん学術的に解明され、広がってきたことも要因なんです。
例えば、お口のケアを定期的にしている糖尿病の患者さんは目に見える改善につながっていますし、日本糖尿病学会の治療ガイドラインにも「お口のケア」や「歯科医院との連携」が明記されています。
歯を守ることは「糖尿病や認知症を予防すること」だと専門のお医者さんも言われはじめています
例えば、糖尿病専門医や認知症専門医のお医者さん達も「歯を守る」ことの大切さを伝えはじめています。
「歯を守る」ことの大切さについて、本まで書いている2人のお医者さんの話をご紹介しますね。
歯医者さんじゃなくてお医者さんです。
まずは糖尿病専門医の西田亙先生(愛媛県松山市)です。
西田先生は「糖尿病がイヤなら、歯を磨きなさい(幻冬舎)」という本を2018年に出版されています。
その本の中で西田先生は、次のように言われています。
お口のケアは命の分かれ目。
“健口(歯を守る)のご利益”は、糖尿病をはじめとするあらゆる病魔から私たちの体を守ってくれるのです。
このように歯医者さんでもないのにお医者さんが「歯を守る」大切さを伝えるに至った経緯を調べてみました。
すると糖尿病専門医でありながらご自身も糖尿病の寸前までいき、歯科医院でお口のケアを定期的に受けるようになってから劇的によくなった経験をされたようです。
糖尿病寸前の時のご自身の写真や口の中の写真と現在の写真も公開されています。
普通、お医者さんがここまでするのは「医者として恥ずかしい」といったプライドも働き、行わないはずです。
しかし、あえて西田先生が行っておられるのは「歯科医院で命を救ってもらった」という体験があるからこそ。
ご自身の体験を通じて患者さんに伝えるとは、素晴らしいお医者さんですね。
西田先生は今では積極的に糖尿病の患者さんにお口のケアを行うことを勧めていらっしゃいます。
長谷川先生も「脳の老化を止めたければ、歯を守りなさい」という本を2018年に出版されています。
長谷川先生は、
脳と歯は、とても強く結びついています。
脳を守ることは歯を守ることなのです。
と言われていて、全国を飛び回って「歯を守ることの大切さ」について講演活動もされています。
また、先生はご自身の医院(土岐内科クリニック)の診察室の横に口腔ケアができるチェアを入れられ、歯科衛生士さんを雇ってお口のケアができるようにしています。
その先端的な取り組みはテレビなどでも多く取り上げられてます。
長谷川先生もお口のケアを定期的に行う認知症の患者さんが、データ的にも症状的にも大きく改善したことを間近で見てこられて「お口のケア」をすることを強く勧められるようになったそうです。
それまでは、患者さんの歯のことなんか見たことも気にしたことも、ほとんどなかったそうです。
このように、昨今ではお医者さんが歯の大切さを伝えることが増えてきました。
お医者さんである西田先生、長谷川先生のように「お口のケア」の大切さを積極的に説く先生達は、まだ一部にすぎません。
というのは、お二人の先生は(書籍などによると)、学術的というより「お口のケア」を行ったご自身や患者さんの変化からその大切さに気づき、学術的な要素を調べ間違いないという判断をされているからです。
お二人の先生のようなお医者さんは、患者さん視点で考える先生だからでしょう。
そして、厚生労働省もお口と慢性疾患の関係については認めており、様々な施策を打ち出し始めているんですね。
例えば、歯周病をひどくさせない定期管理を行う歯科医院を評価する保険点数を増やしたり、歯科と医科で患者さん情報を共有しながら診療していく医院には、お医者さんも歯医者さんも両方を加算する制度が既にできています(医院側が知らずにまだ活用されていないことも多いです)。
(出典:伊藤裕)
このメタボリックドミノの考えが益々浸透し、今から5年後には「お口と全身の健康」について意識が高まる人が益々ふえてくるでしょうね。
あなたの人生を豊かにしてくれる歯科検診、いつからはじめますか?
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