歯周病予防は脳の衰えを防ぐことが分かってきています

ここ数年で歯周病は万病の元、歯周病を改善すれば、他の病気もよくなるという症例(実例)が多く出てきて、その関係性も医学の世界で発表されるようになりました。

その中でも、認知症と歯周病に深い関係があることが分かってきています。

というより、歯周病こそ脳の衰えに大きな影響を与える病気だと、広く認知されつつあります。

そのため、定期検診(予防歯科)を習慣にする意味とは、歯を残すだけじゃなく、記憶を残すことにも繋がってくるわけです。

今回は歯科医ではなく、認知症専門医の先生が出している参考記事を基に、歯周病と認知症の関係について記しています。

歯周病は脳にゴミをため続け、認知症につながります

次のような記事が2020年1月の沖縄タイムズに掲載されました。

認知症専門医の長谷川嘉哉先生(岐阜県土岐市)による、歯周病と認知症の発生・悪化のメカニズムの話です。

【歯周病がアルツハイマーの要因に 歯のケアで認知症予防】

記事の中に、

>歯周病にかかっている期間が長ければ長いほど脳にたまるゴミは増えていると考えられ、認知症に・・・。

との一文がありますが、最近はこういったメカニズムがどんどん分かってきています。

「歯周病を放っておくことは脳にゴミをため続けることになる」これは分かりやすい表現であるとともに、とても怖いことですね。

歯周病の治療や口の中のケアを行うことで、脳の衰え予防になり、認知症の症状や認知症を示す数値も改善されることを、長谷川先生は次の動画でもおっしゃっていました。

この動画のポイントをまとめると、

  • 口の中を刺激することは脳を刺激するのと同じ
  • 1回噛むことで3.5mlの血液が脳に送られる
  • 口の中のケアを行うことで認知機能の回復が数値でも出ている
  • 認知症は進行しなければ何とかなる!有効なのは口腔ケア

ということです。

2025年、認知症患者は約730万人に増える

そして今後、高齢化がどんどん進む日本の認知症患者数の数は、2025年に730万人と厚生労働省は予測しています。

これは埼玉県の人口と同じだそうです。

✔短期記憶さえ持てなくなる

✔家族の顔が分からなくなる

✔自分に関する過去の記憶もなくなる

このような認知症にだけはなりたくないと、私は強く思います。

先ほどの長谷川先生の理論で言えば、認知症は何かのきっかけで急になるものではなく、脳にゴミがたまり続け、徐々に悪化していくわけです。

その主な原因が歯周病で、歯と歯茎の隙間から毛細血管にいきわたり、脳に伝わってゴミとなって蓄積される、それがやがて認知症という症状に・・・。

その結果、生活の質はどんどん落ち、人間の尊厳さえ失われてしまうのです。

いや~、想像するだけで怖い。

しかし、このような理論が一般の人に認知されるには、きっと10年以上(現在2020年)かかります

なぜなら、このサイトの中心的テーマである『予防歯科』も2005年ぐらいから、先進的な歯科医師の先生たちや歯科医院に通う患者さんはもちろん、本や雑誌などのメディアでも伝えてきました。

ですが、なかなか認知されませんでした。

予防を志していた歯科医院の中には途中で心が折れて、予防歯科の診療をやめてしまった歯科医師の先生もいます。

予防とは、一般に認知されるまでに時間がかかるものです。

また、10年前の歯科の患者さんの中には「3か月に1回の予防歯科、定期検診といって治療をどんどん引き延ばしている」「定期検診のハガキが送られてきて、治療に強制的に呼ばれた」というように誤解する人も普通にいました。

ようやくその重要性が認知されはじめ、歯磨き粉のテレビCMにも「予防歯科」というキーワードが表記されるようになったのは、ここ5年程のことです。

このように新しい考えや理論は伝わるには、どうしても10年ぐらいかかってしまうのです。

一方で、その間にも1人1人の口の中は、どんどん悪化してしまっています。

そこに気づいて、10年前から歯周病にならないように3か月に1回、歯の定期検診に通う習慣がある人と、10年後にようやくはじめる人では、その時点で既に脳にたまっているゴミの量は大きく違うわけです。

歯周病は万病の元、今すぐはじめよう!予防歯科習慣

歯科医院に行って歯科衛生士さんにお口の中の歯石をとってもらったとしても、口の中の歯石の量やくっつき具合は約2~3か月程度で元に戻ってしまうそうです。

だから、定期検診は3か月に1回なんですね。

仮に歯周病を悪化させる歯石が3か月にたまる量を<10>とします。

3か月に1回、定期検診でしっかり歯石をとる習慣がある人は、常に<10>の歯石がMAXの量です。

歯ブラシでは歯茎の中の歯石は取れません。

しかし、その習慣がない人は1年で<10>×4で<40>に、10年でその10倍の<400>の歯石がたまることになります。

10年間で口の中の歯石量が<10>と<400>ぐらい変わり、それが脳のゴミとなって蓄積されてしまうのです。

また、歯周病は認知症だけではありません。

メタボリックドミノで示されるように、糖尿病などの生活習慣病を含めた万病の元になることが分かっています。

(出典:伊藤裕)

ゴミは脳だけにたまるんじゃない、ってことですね。

そう考えると、定期検診(予防歯科)は、今スグはじめた方がいいと思いませんか?

とはいっても定期的に通う医院となれば、いわゆるかかりつけの歯科医院になるため慎重に決めたい! と思いますよね。

自分の街には「ここも歯医者なんだ」というほど歯科医院は多くあるでしょうが、どうやって歯科医院選びをしたらよいか?と、いつも悩むという方も少なくありません。

そこで予防歯科で通い続ける歯科医院の選び方について、過去にくわしく書いていますのでご紹介します。

1)歯科検診はどんな歯科で受診するべき?知っておきたい5つの【必須】ポイントとその理由

ここでは、歯科医院選びで必ず確認したいポイントを5つあげています。

なお、その歯科医院に行ってみないと分からないことをあげてもほとんど意味がないので、ホームページで確認できるポイントを中心に書いています。

2)歯科検診で信頼できる歯科とは? 5つの【任意】ポイントとその理由

そしてここでは任意、つまりできればこのポイントも予防歯科医院選びで押さえておきたい!という5点を記しています。こちらも慎重な予防歯科医院選びの参考になさってください。

まとめ

  • 認知症は脳にゴミが長年、たまることで引き起こされる
  • 脳の衰え、認知症は人間の尊厳さえなくしてしまう!予防できるのが分かっている時代にしないのはなぜ?
  • 現在、歯周病が原因で引き起こす病気が分かってきている、スグ行動を!

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丹羽浩之

兵庫県神戸市在住の私(丹羽浩之)は仕事では長年、全国の歯科医院と接点を多く持ってきており、2児(小学生と幼稚園児)の父親でもあります。
そして親として、子供たちに健康の大切さを伝え、歯を大切にする習慣を自立的に身につけてほしいと願っています。

なぜならお口は「食べられる、話せる」からはじまり、「歩ける、話せる」にも影響し、また全身の病気や慢性疾患になるリスクも大きく変わってくるためです。
しかし、こんな大事なことを「どこからもきちんと教えてもらう機会がない」、これが日本の実情です。

仕事柄、私を知る人から「(自分の地域で)おすすめの歯科医院はないですか」「どうやって自分にあった歯科医院を選べばよいですか」といった相談を数知れず受けてきました。
そして、ほかにも同じような悩みを持っている人たちが大勢いるのではないかと思いました。

そこで、私のこれまでの経験値を含めた情報は、そのような方々のお役に立てるのではと思いこのサイトを立ち上げることにしました。
また、このサイトでは予防歯科の情報提供のあり方として、「患者の立場」を最も大切に考えています。

仕事では歯科医院の経営コンサルタントとして15年間で500件以上の歯科医院に関わってきました。
その中で、日本人の予防歯科(定期健診)への関心の低さが、常に課題としてありました。

予防歯科に通う習慣がある人とそうでない人とでは、人生における生活の質が全く違ってくることを医院に通う患者さんを通じて知りました。
なお、このサイトで医学的に正確な情報が必要な部分については、私が15年に渡って信頼を築いてきた歯科医師、歯科衛生士、医師の方々にご監修して頂いたり、引用元を明記した上で情報提供します。