歯科医院のスタッフが熱心に歯科検診をオススメする理由

歯科医院で働くスタッフには、歯科助手や受付の人達がいますよね。

そして、歯科衛生士として働く人達もいます。

後者は国家資格がないと従事できません。

そう、歯科衛生士さんって歯科医師と同様に国家資格なんです、知ってましたか?

歯科助手や受付は何の資格も必要ないため、前職はカフェの店員だった人やアパレルで働いていたという人もいます。

「歯科助手や受付は医療事務の資格がないとできない」と思っている人もいますが、実際はそんなことないんですよ。

そして、歯科検診(予防歯科)を推進する歯科医院で働くと、歯科助手や受付のスタッフでも自然と歯科検診を受診し、口腔内に対する意識が高くなっていくようになります。

そこには歯科医院で働くゆえの秘密があります。

それを今回は教えちゃいますね。

歯科助手や受付のスタッフ(従業員)も自ら歯科検診を受診している医院じゃないと信頼なんかできない

例えば、レストランのウェイターに「ここのお店のオススメは何ですか?」と聞いて、

  • 沈黙が生まれるお店
  • 楽しげにオススメを説明するお店

あなたらなら、どちらのレストランに行きたいですか?

おそらく多くの人は後者でしょう。

しかし、歯科医院での治療が終了したタイミングで、歯科助手や受付のスタッフにやたら今後の歯科検診の説明を熱心にされるとどうでしょう?

「それって、治療を長引かせたいのか」

と感じる人は、きっと少なくありませんよね。

でも、15年以上いろいろな歯科医院を見てきた人間として私が言えるのは、「熱心に説明してくるスタッフがいる歯科医院ほど、信頼できる」ということ。

なぜならそれは、

口の中がボロボロで苦労している患者さんを間近で見てきているから。

ゆえに「患者さんにそうなって欲しくはない」「患者さんに後悔してほしくない」という思いで説明するんです。

歯科医院に勤めるとさまざまな口腔内の患者さんと出会いますよね。

その中で、苦労を実感している人や、治療に多額の費用を支払う人達と接します。

それは例えば

「こんなに見た目は品がある方なのに、口の中はこんななの・・」

「え~、こんなに治療費に使うものなの」

「いや~、ホント大変そう・・」

というような感想を抱きます。

もちろん、患者さん本人の前では絶対に言えないことですが、歯科医院で働くまでの自分とは無縁だった世界に足を踏み入れるわけですから、驚きの連続だったことでしょう。

この経験により、スタッフとして歯科医院に勤める前までは「歯は大切だけど歯磨きをしっかり行えば大丈夫」という程度の漠然とした意識だったのが、「歯は生きる上の要、健康な歯を保ち、口の中を清潔に保たないと将来大変なことになる、ヤバイ」と思うようになるわけです。

かく言う私自身も歯科業界に関わるようになって、同じように考えるようになりました。

歯科衛生士さんだけでなく、歯科助手や受付のスタッフも自ら歯科検診を定期的に(ご自身が勤める)医院で受診している歯科医院は、口腔内への意識が高いので信頼できます。

歯科検診の知識と強烈なお口の中を見る経験、この2つがあるからスタッフ自身が進んで歯科検診をしているんですね。

そういう人の話は自然と熱が入ってしまいますよね、何とか伝えたいっていう熱が(ちょっと押し付けがましい事もたまにあったりしますが、そういう背景があるわけなので許してあげてね)。

実際に、歯科助手スタッフが歯科検診を真剣に受診するようになったエピソード

私が関わっている歯科医院で歯科助手スタッフとして働く20代女性(中村さん:仮名)と、個別面談をしていた時のことを話しますね。

彼女は元々、歯科とは全く異なるディズニーショップで働いていたそうです。

そのため歯科検診についてあまり関心がなく、歯科医院に勤めた当初も歯科検診を受診することはありませんでした。

しかし、気が付くと勤めていた歯科医院で自発的に歯科検診を定期的に受診していたそうです。

その理由を中村さんに聞いてみました。

【体験談(歯科助手:中村さん(仮名)入社1年経過したスタッフ)】

私はこの歯科医院に勤めるようになるまでは、医療とは全く異なる職場で働いていました。

この●●歯科医院に勤めようと思った動機は、医院のホームページをみて、健康の大切さや体と歯の関係などがしっかり書かれていて、ここは働きながら自分の健康意識が高まる職場じゃないかなと思ったためです。

当院では、高度な治療である歯周外科なども行っているため、比較的重度の歯周病になっている患者さんも多くお見えになります。

そういう患者さんを間近でみる中で、食事や話すことに大変苦労されていたり、歯だけでなく他の慢性疾患などの病気を抱えていることを知りました。

年代を問わずそのような患者さんがお見えになります。

当院で働かなければずっと知らなかったことかもしれません。

このような経験から私は歯磨きをしっかりすること、定期メインテナンスをしっかり受けることの大切さを痛感し、今では行っています。

そして、お口のことで大変な思いをされ、悩まれている患者さんを沢山みてきたからこそ、多くの方に歯科検診の大切さに気付いていただく取り組みを今後も行っていきたいと思います。

いかがでしょう。

歯に特にトラブルもなく普通に暮らしていると、若いうちに歯科検診に関心を持つことは少ないですよね。

なんてたって、歯のことより大事なことは、たくさんありますからね。

痛みがある場合は、その痛みをなくしたいと行動しますよね。

しかし、痛みがないのに定期的に行動するというのは、知識が深まり意識が高くならなければ、誰にとっても難しいものです。

今回ご紹介した中村さんは、実際に間近で「口の中がボロボロになってしまい、生活を送るうえで大変な思いをしている人たち」をたくさん見てきたがゆえに、歯科検診の大切さに気付いてしまったわけです。

そう、パンドラの箱を開けてしまった!のです。

患者さんに歯科検診の大切さを知ってもらおうと頑張っている歯科スタッフは、口頭による説明では中々伝わらないことをもどかしく思っていたりします。

ツールや画像などを使って色々と試みてみるものの、やっぱり治療と違って予防の大切さを伝えるのは難しい。

ただ、「歯の守り方(歯科検診)」の知識がないことで、人生の質を低下させてしまい、後悔している方が日本に非常に多くいらっしゃるのも事実なんです。

そのため、本来は学校などでその重要性について「子供のころから歯科検診について、ちゃんと学ぶようにするべきだ!」と私は考えていますが、残念ながら現在の日本ではそうなっていませんね。

歯科医院のスタッフが歯科検診の大切さを一生懸命説明しようとするのには、このような想いがあるからなんですね。

まとめ

歯科検診を勧める歯科医院は、決して

  • 治療を長引かせたい
  • 自費診療で儲けたい

からではないのです。

「歯科検診を受診する習慣」はあなたの人生を長期に渡って大きく変えることになる、これに尽きるんです。

1アクション
歯科スタッフ(従業員)は、現場で強烈な患者さんを診ているから、つい歯科検診の説明に熱が入ってしまう

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ABOUTこの記事をかいた人

丹羽浩之

兵庫県神戸市在住の私(丹羽浩之)は仕事では長年、全国の歯科医院と接点を多く持ってきており、2児(小学生と幼稚園児)の父親でもあります。
そして親として、子供たちに健康の大切さを伝え、歯を大切にする習慣を自立的に身につけてほしいと願っています。

なぜならお口は「食べられる、話せる」からはじまり、「歩ける、話せる」にも影響し、また全身の病気や慢性疾患になるリスクも大きく変わってくるためです。
しかし、こんな大事なことを「どこからもきちんと教えてもらう機会がない」、これが日本の実情です。

仕事柄、私を知る人から「(自分の地域で)おすすめの歯科医院はないですか」「どうやって自分にあった歯科医院を選べばよいですか」といった相談を数知れず受けてきました。
そして、ほかにも同じような悩みを持っている人たちが大勢いるのではないかと思いました。

そこで、私のこれまでの経験値を含めた情報は、そのような方々のお役に立てるのではと思いこのサイトを立ち上げることにしました。
また、このサイトでは予防歯科の情報提供のあり方として、「患者の立場」を最も大切に考えています。

仕事では歯科医院の経営コンサルタントとして15年間で500件以上の歯科医院に関わってきました。
その中で、日本人の予防歯科(定期健診)への関心の低さが、常に課題としてありました。

予防歯科に通う習慣がある人とそうでない人とでは、人生における生活の質が全く違ってくることを医院に通う患者さんを通じて知りました。
なお、このサイトで医学的に正確な情報が必要な部分については、私が15年に渡って信頼を築いてきた歯科医師、歯科衛生士、医師の方々にご監修して頂いたり、引用元を明記した上で情報提供します。