そこで今回は、「これからはじめて歯科検診を受診したい」という方が疑問に思いやすい4点をわかりやすく解説します!
はじめて歯科検診を受診する前に知っておきたいこと
はじめて歯科検診を受診しようすると、「どんなことをするのか?」「費用はどれぐらいか? 保険適応するのか?」といった疑問がわいてきますよね。
そしていざ、スマートフォンで検索して調べてみると・・。
「え~、歯科検診が保険適応する歯科医院もあれば、しない歯科医院もある、これって変じゃない?」
「都道府県によって歯科検診の保険適応か否かが違う?そんなことないはずだし・・」
このように保険適応(費用)・内容・時間が歯科医院によって書いてあることが異なっていてよく分からないと思った経験はありませんか。
今回は、そんな歯科検診にまつわる疑問を解決いたします!
1.歯科検診は保険適応されるのか
歯科医院よって保険適応したり、保険外となっていたり、なぜ違いがあるのでしょう?
歯科検診といっても、実は診療内容が明確に決められているものではありません(ガイドライン程度のものはあります)。
そして基本的に健康保険というものは、病気やけがの「治療」を保険でカバーするもので、普通は「予防」の対象にはなりません。
そのため歯科検診というものは本来は自費負担になり、人間ドックと同じ扱いです。
それじゃあなぜ、健康保険適応している歯科医院があるのでしょうか?
このような医院は、簡単に言えば虫歯や歯周病の治療などの名目で保険適応にしているのが実態です。
例えば、成人の多くは自覚症状のない軽い歯周病を患っているため、その治療という名目で保険適応をしていたりします。
いわゆるグレーゾーンってやつですね。
違法でもないし、正確にいえばOKでもない。
しかし国は2015年、虫歯や歯周病になっていない場合、「予防処置に保険給付しない」という見解を改めて公表しました。
歯科医院がこのような名目で保険適応することは、どんどん難しくなっているんですね。
一方で、保険制度として2016年以降、歯周病安定期治療(SPTⅡ)というものができました。
これは、以下のように定義されています。
かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所において、一連の歯周病治療終了後、一時的に病状が安定した状態にある患者に対し、歯周組織の状態を維持するためのプラークコントロール、歯周病検査、口腔内写真検査、スケーリング、スケーリング・ルートプレーニング、咬合調整、機械的歯面清掃等の継続的な治療(以下この表において「歯周病安定期治療(Ⅱ)」という。)を開始した場合は、それぞれの区分に従い、月1回を限度として算定する。 |
(引用:しろぼんねっと)
ちょっと難しいのですが、簡単に言えば「歯周病治療を終えた人は、今後、悪くならないようにするために維持する治療なら保険で行えますよ」という内容です。
そのため、この保険制度を使って、健康保険適応としている歯科医院さんが増えています。
ただ、この保険制度を利用できる歯科医院は「かかりつけ歯科医機能強化型診療所」という認定を厚生労働省から得ていることが条件になります。
むし歯で歯科医院に通っても多くの人は軽い歯周病にかかっていることが多く、歯周病治療が同時に行われることも多いです。
そのため、治療終了後にそのままこの歯周病安定期治療を受けるというパターンがよくあります。
このことをしっかり説明するのが本来の歯科医院に必要なことだけど、説明をほとんどしないケースもあると思います。
ただ、いずれにしても歯科検診に通いたい患者としては、健康保険適応されるのだから、これは有り難い制度ですよね。
そして歯科検診の場合は3ケ月に1回程度受診する人が多いため、1カ月に1回は保険算定できる、この制度が利用できるわけです。
通う頻度はよほど悪い状態でない限りは3カ月に1回を歯科医院に勧められると思いますが、1カ月に1回でも算定できるため、もっと頻度を増やしたい方は歯科医院に相談してみると良いでしょう。
どれぐらいの頻度で通うかは、1人1人の歯科医師の判断になります。
2.残っている歯の数で会計時の支払額が違うってホント?
上で解説した歯周病安定期治療は、残っている歯の本数によって加算される点数が次のように異なります。
点数というのは保険点数のことで、この10倍が歯科医院が請求できる金額のこと。
普通、患者さんはその3割を受付で支払います。
1. 1歯以上10歯未満 380点
2. 10歯以上20歯未満 550点 3. 20歯以上 830点 |
このように、歯が多く残っている人の方が点数が高くなっています。
それは、歯科医院にとって歯が残っている人の方が、歯石取り1つとってもやること多くて時間もかかるから。
そのため、人によって受付で支払う費用も少し違ってきます。
そして、歯周病安定期治療で保険適応の場合、20本以上歯が残っていると、1回8,300円(830点)以上になります。
これが最低で、初診料や再診料など他にも加算があります。
健康保険適応のため、患者さんの支払いは基本的にその3割(3,000~3,500円くらい)ですね。
ここまでをまとめると、
- 歯科検診に健康保険適応はできない
- むし歯や歯周病の治療の名目で保険適応していることがある(今後、減っていく)
- 歯周病安定期治療として歯科検診を保険適応している医院が増えている(ただし、「かかりつけ歯科医機能強化型診療所」に認定を受けている歯科医院に限る)
つまり、
- 保険適応なら歯周病安定期治療
- それ以外は自費診療
という歯科医院が今後は増えてくるでしょう。
ちょっと小難しい話にもなりましたが、これが歯科医院によって「保険適応可能だったり、そうでなかったり」する理由です。
患者にとっては、小難しい理由はどうでもいいので、健康保険適応してくれるのは有難いですね。
「保険適応だったり、そうでない」理由が分かると、通いたい歯科検診を決めるのに役立ちます。
3.歯科検診にどうして自費診療があるのか
では、先ほどの歯周病安定期治療という健康保険適応されるものがあるのに、わざわざ自費診療が歯科検診にもあるのはなぜでしょう?
理由は2つあります。
私はそれを個人的に消極的自費と積極的自費と名付けてます。
1つ目は、歯周病安定期治療というものは先ほどもお伝えしたように「かかりつけ歯科機能強化型診療所」の認定を受けている歯科医院に限ります。
この認定を受けられていない歯科医院は自費でしか診療ができません。
つまり、方法が自費しかないため、これは消極的自費といえます。
そして2つ目は、歯周病安定期治療は保険適応されるゆえに制約があります。
保険点数も先ほどのように残っている歯の数で決まっていますし、どういう処置を行うのかのガイドラインもあります。
これに従うことで、はじめて保険適応ができます。
しかし、患者さんの満足を考えるともっと自由に処置を行いたい歯科医院もあります。
このケースが積極的自費となります。
例えば、
- もっと快適に感じてもらうため、歯茎のマッサージを途中にいれたい
- 着色除去に時間をかけて丁寧できれいに仕上げたい
- 舌のクリニーニングをしたい
- 専用の個室チェアを用意したい
というようにです。
こうなると手間も時間もかかり、使う材料なども増えたりします。
そしてこれらは保険点数の加算もありませんから、歯科医院側も自費診療で行うしかないわけです。
また、自費診療は「かける時間も内容も費用も」歯科医院が自由に決められます。
そのため90分20,000円とか180分50,000円なんて歯科医院もあります。
それらを望む人がいる限り、自由にできるわけです。
また、歯科検診の頻度も自由です。
3カ月に1回でもよいし、2週間に1回でもよいので「もっと頻繁に検診をしたい」と希望すれば、そのようにしてくれるはずです。
ちなみに私は2ケ月に1回程度、自費で歯科検診を受けています。
やっぱり一度自費で受けると、とても心地良く感じ、保険に戻れなくなるんですね(笑)。
1回10,000円ですが、2カ月に1回であれば1年で60,000円です。
これで、快適なチェアで丁寧に仕上げてくれ、口の中もスッキリし、健康が維持できるなら安いと考えています。
とはいえ最初から自費で受けていたわけではなく、最初は保険適応で受けてました。
そのため、はじめて歯科検診を受診する方は、まず「かかりつけ歯科医機能強化型診療所」認定の歯科医院で、保険適応で受けてみるとよいと思いますよ。
そして歯科検診を定期的に受けていけば口の中に対する意識も自然に上がってきて、「もっと違う歯科検診も受けてみたいな」と思う時期がやってきます。
そのタイミングの時に自費を試してみるのもありです。
4.保険適応と自費の歯科検診の違いについて
次に、歯科検診の保険適応と自費に関する内容の違いについてです。
先ほどお伝えしたように、保険適応の場合は基本的な内容が大体決まっていますが、自費診療の場合は医院によって自由です。
具体例で伝えた方がイメージがわくと思うので、歯科検診を自費で行っているボーテさん(大阪市)が出している説明資料をご覧ください。
保険のお掃除
■15分〜30分程度の施術
(歯磨き・歯石とり・フッ素塗布)
■エアフロー(ヤニ、着色とり)はない
■なんども通わなければならない
■歯周病の治療としてのお掃除が対象
■最終コーティングがないため、歯の表面に傷がつき、着色しやすくなる
プロフェッショナルクリーニング
■60分の施術
(フロス・歯石とり・エアフロー・1次研磨・2次研磨・歯肉マッサージ・舌クリーニング・フッ素塗布)
■ヤニ・着色もとれる
■1回の施術でOK
■コーティングするため、着色しにくくなる
■歯肉マッサージや舌クリーニングも含まれる
■どなたでも対象
このように比較表でみると、保険はあくまで最低限の治療だということが分かると思います。
そして、自費の歯科検診は「気持ちよく受けたい」「歯石取りだけでなくしっかり着色まで落としてほしい」という方が対象です。
この意味や違いも、まずは保険適応で歯科検診を受けてみないと、はっきりいって分かりません。
比較の対象がないですからね。
そのため、私の経験からもまずは保険適応で歯科検診を受けてその後、自費も受けてみるというのがいいです。
まとめ
- 歯科検診に健康保険は本来、適応はできない
- むし歯や歯周病の治療の名目で保険適応していることがある(今後、減っていく)
- 周病安定期治療として歯科検診を保険適応している医院が増えている(「かかりつけ歯科医機能強化型診療所」認定の歯科医院)
- 保険適応は基本的に必要最低限、実費は保険適応に比べて高価だけど満足度が高い
- 保険適応での歯科検診からはじめて、口腔内への意識が高まったら実費を受けてみるのがおすすめ
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