「歯の定期検診の効果がよくわからない」という理由でやめてしまった方、1年ぐらい前まで定期検診で医院に通っていたけれども、自然と行かなくなってしまったという人は多くいます。
たしかに目に見える劇的な変化はありませんが、定期検診を受けることで得られるものは多くあります。
今回は、歯の定期検診をおすすめする理由についてお話します。
歯の定期検診に行かなくなった理由の多くは「なんとなく」
歯の定期検診に行かなくなってしまった理由に、「急用などの理由で一度キャンセルしてしまい、その後の予約がなんとなく取られなくなってしまった」という声が多くありました。
他にも、「1年くらい行っていたけれど、効果がわからず辞めてしまった」という方もよくいらっしゃいます。
全国の歯科医院で実際に定期検診がどれくらい続くかという統計を取ってみたところ、歯の治療が終わったあと定期検診に通い続けて3~4回目(治療を含まず)の時に行かなくなる確率が一番高い、ということがわかりました。
歯の定期検診とは、3~4か月に1回来院して、歯の健康状態のチェックをして歯石を取ってもらうことです。
これを3~4回というと、約1年で辞めてしまうという人が多いという統計になります。
では、その理由とは何でしょうか?
実は、これといった明確な理由ありません。
先ほどお伝えしたように「大事な用事が入ったので予約をキャンセルして以降、取らなくなってしまった」、「通うことに飽きてしまった」という理由で歯の定期検診をやめてしまう方が多くいらっしゃいます。
このように「なんとなく」やめてしまうのには、歯の定期検診は効果がわかりづらいということが考えられます。
なんのために歯の定期検診を受けるのか?
そもそも、歯の定期検診はなんのために受ける必要があるのでしょうか?
歯垢や歯石をとったり、歯周病の進行度やむし歯といったお口のトラブルをチェックしたり…他にもありますが、どれも3~4か月に1回、定期的に診てもらっていると早い段階で発見して治療することができます。
大きなむし歯を治療したり、歯が真っ白になったりするわけではないので効果はわかりにくいですが、年齢を重ねても健康な歯を少しでも多く残すためには、とても大切なことです。
実際、歯の定期検診は効果があるのか?
実は、40代くらいまでは歯の定期検診を受けても受けなくてもあまり変わらないというデータもあります。
「えっそうなの?!ずっと通い続けてたのに…40代までは受けても意味ないの??」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
それは違います!
まずは、こちらのグラフをご覧ください。
(出典:日吉歯科診療所)
こちらは、山形県酒田市の日吉歯科診療所さんによる、患者さんのデータを調べたものです。
実はこの日吉歯科診療所さん、歯科業界では非常に有名な医院さんです。
というのも、「予防歯科」というものを非常に早い段階である30~40年前から行っていて、来院される患者さんのデータをずっと取り続けています。
そのため、他の多くの歯科医院が見学に行ったり、講演で話を聞きに行ったりしています。
そんな日吉歯科診療所さんによる「一人平均残存歯数の比較(残っている歯の本数の比較)」を表すグラフなのですが、上の方が定期診断を受け続けている人、下の方が治療だけ受ける(定期検診に来ない)人となっています。
定期検診を受けている人と受けていない人では、歯が残っている本数は年代別にどうなっているでしょうか?ということをデータにしたグラフですね。
こちらによると、40代くらいまではほとんど差がありません。
50代の入り口でもほとんど変わりませんが、60代に近づくと大きく差が出始めます。
つまり、定期検診に通い続けている人ほど残っている歯の本数が多く、通っていない人は歯がなくなっていくリスクがどんどん高くなります。
つまり、50代以降に歯周病、歯槽膿漏、歯ぐきの腫れ、口臭というような歯のトラブルが増えていくということです。
これを読まれている読者の方の中には、「たしかに50歳近くになって歯のトラブルが増えたな…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実際わたしも、40代になってはじめて、歯が欠けるという経験をしました。
若いうちは歯の定期検診に行かなくてもいい?
50代から定期検診の差が出るのであれば、50代になってから定期検診に通えばいいのでは?と思われるかもしれませんが、そうではありません。
先ほどのグラフは、「今までやってきたことの差は50代になって出てきますよ」ということです。
30代や40代のうちからしっかりと定期検診の習慣をつけている人は、50代や60代になっても歯の本数が多い傾向にあります。
たしかに30代や40代のうちはなかなか定期検診の効果を感じ辛いということがありますが、定期検診の目的は「お口のトラブルを早期発見、予防する」ためのものなので、劇的な変化はありません。
50代以降で定期検診を受けていない人は、お口のトラブルに気づかず、慌てて歯科を受診する頃には歯を抜かなければならないという最悪のケースに…なんてことが言えるわけです。
これからの人生の質を上げるためにも歯の定期検診を
今は長寿社会となり、男性も女性も80代や90代の人が普通に生きられる時代になりました。
平均寿命が60代や70代の頃には、歯の定期検診は重要視されていませんでしたが、今では50代以降の人生も非常に長く、30年40年と続きます。
その人生の質を大きく変えてしまうのが、「歯の定期検診をやり続けたかどうか」ということなんです。
歯の本数が減ってしまうと食べられない、話せない、噛みしめられないといった日常生活に支障が出たり、いろんな病気を引き起こしやすくなるということも解明されています。
若いうちから、3~4か月に一回通えばいいだけですから、歯の定期検診を受けているかいないかで残りの人生の質が大きく変わってくるということを、少しでも覚えていてくださいね。
まとめ
・歯の定期検診を1年くらいでやめてしまう人は非常に多い
・その理由の多くは「なんとなくやめてしまう」で、明確な理由はない
・歯の定期検診を受けているかどうかの結果は、50代以降で差がでる
・長寿社会なので50代以降の人生の質を上げていくためにも、若いうちから定期検診の習慣化が必要
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