子供の歯を守るために、歯科検診やむし歯予防はなぜ必要?

子供の歯は、10歳くらいまでは「親が仕上げ磨きをしよう」と言われています。

「歯は大切!子供に、むし歯のない人生を!」と願わない親はいませんが、実際10年も仕上げ磨きを行うのは、親にとっても結構面倒な育児の1つです。

子供は大抵2歳ごろから歯磨きを嫌がり、小学校に入ると面倒くさがります。

実際、私の子供2人もそうです。

「仕上げ磨きを行う」、つまりは子供の歯に親が深く関わり続ける本当の意味や目的を知らないと、親もめげてしまいます。

「むし歯をつくらないためでしょ」と思われる方はもちろん多いでしょうが、実はそれ以上の意味があります。

それを知ると、「勉強ができる子になってほしい」「スポーツに秀でる子にしたい」と考える以前に、子供の歯を守ることは私たち親が誰でもできる子供の未来への最高の投資であり、プレゼントだと気が付くでしょう。

子供の頃から正しい歯磨き、歯科検診(予防歯科)の習慣をつくることは、むし歯を予防する以上の効果をもたらします

子供の頃から定期的に歯科健診を受け、歯を予防する習慣をつけておくのは一体どういう意味を持つのでしょうか?

むし歯になりづらく、治療で痛い思いをしたり、時間と費用をかけずに済む

もちろんそうですが、これだけじゃないんです。

これからの(お子さんの)長い人生において、

  • しっかり噛めて、おいしいものが食べ続けられる
  • 普通に話すことができて、会話にストレスを感じない
  • しっかり噛みしめられることで、歩いたり走ったりといった日常からスポーツをするに至るまでストレスを感じない
  • 歯周病を防ぐことで、慢性疾患になりづらい
  • 噛めることは脳との交信になるため、認知症になりづらい

といったことにつながります。

若い時だけじゃなく、この状態が年を取っても続けられる!わけです。

このように歯を守ることは、単に「むし歯にならない」というレベルの話ではないのです。

その証拠に、「歯を守ること」の大切さを歯医者さんだけでなく糖尿病専門医などのお医者さんも気づかれはじめ、伝えているんです。

歯を守ることは「糖尿病や認知症も予防する」ということ

先程お伝えしたように、糖尿病専門医や認知症専門医のお医者さん達も「歯を守る」ことの大切さを伝えはじめています。

「歯を守る」ことの大切さについて、本まで書いている2人のお医者さんの話をここではご紹介しますね。

まずは糖尿病専門医の西田亙先生(愛媛県松山市です。

西田先生は「糖尿病がイヤなら、歯を磨きなさい(幻冬舎)」という本を2018年に出版されていて、その中でも次のように言われています。

お口のケアは命の分かれ目。

“健口(歯を守る)のご利益”は、糖尿病をはじめとするあらゆる病魔から私たちの体を守ってくれるのです。

このように、歯医者さんでもないのになぜお医者さんが「歯を守る」大切さを伝えるに至ったのか、その経緯を調べてみました。

すると、西田先生は糖尿病専門医でありながらご自身も糖尿病の寸前となり、歯科医院でお口のケアを定期的に受けるようになってから劇的によくなった経験をされたようです。

糖尿病寸前の時のご自身の体形や口の中の写真と現在のそれらの写真も公開されています。

普通、お医者さんがここまでしませんよね。

なぜなら普通は「医者として恥ずかしい」といったプライドが働きます。

しかし、あえて西田先生が行っておられるのは「歯科医院で命を救ってもらった」という体験があるからこそ。

「歯の大切さ」を伝えることは使命だと感じているからでしょう。

ご自身の体験を通じて、患者さんに伝えるとは素晴らしいお医者さんですよね。

西田先生は今では、ご自身の医院に通われている糖尿病の患者さんにもお口のケアを積極的に行うことを勧めていらっしゃいます。

次にご紹介するのは、認知症専門医の長谷川嘉哉先生(岐阜県土岐市)です。

長谷川先生も「脳の老化を止めたければ、歯を守りなさい」という本を2018年に出版されています。

長谷川先生は

脳と歯は、とても強く結びついています。

脳を守ることは歯を守ることなのです。

と言われていて、全国を飛び回って「歯を守ることの大切さ」について講演活動もされています。

また、長谷川先生はご自身の医院(土岐内科クリニック)の診察室の横に口腔ケアができるチェアを導入され、なんと歯科衛生士さんを雇ってお口のケアができるようにしています(驚き!)。

その先端的な取り組みは、テレビなどでも多く取り上げられています。

認知症の患者さんがお口のケアを定期的に行うことで、データ的にも症状的にも大きく改善したそうです。

長谷川先生もそれを間近で見てこられて「お口のケア」をすることを強く勧められるようになったと書かれています。

それまでは、患者さんの歯のことなんか見たことも気にしたことも、ほとんどなかったそうです。

このように最近では、歯科医以外のお医者さんが歯の大切さを伝えることが増えてきました。

子供が20歳になるまで1本もむし歯のない状態にできた親御さんのエピソード

ご紹介したように、長い人生で考えると、子供のころから「歯が健康な状態である」ということは多くの病気を予防することにもつながります。

それによって「ストレスが少なく、何事にもチャレンジ精神が生まれ、前向きに生きる」ということの基盤になりますよね。

単なるむし歯を防ぐ、というレベルの話じゃないんです。

そのためお子さんを持つ親御さんにとって「小さい頃から歯を守る習慣をしっかり身に付けて、成人するまで健康な歯を残し続けることは、勉強やスポーツで子供の可能性を引きだすサポートをする以上に価値あることだ」私は考えています。

そして私と同じように考える親御さんのエピソードが以前、日本経済新聞に掲載されていたので、ご紹介します。

これは山形県酒田市の平田牧場の社長である新田嘉七さんのコラム記事です。

(出典/日本経済新聞)

この記事のポイントは

  • 日吉歯科診療所(山形県酒田市)の「健康な食生活を送れるのは口腔内の健康」という考えに共感したこと
  • おかげで2人の息子さんは20歳を過ぎるまで1本のむし歯もない
  • 親として最高のプレゼントを贈ったと思っている

ということです。

成人するまで1本のむし歯のない状態を維持できたのが親からの最高のプレゼントだと考えられています。

素敵なエピソードですね!

実は一般の方々にはあまり知られていないのですが、山形県酒田市は予防歯科が非常に進んでいる地域なんです。

そこに大きく貢献されたのが、記事でも紹介されていた日吉歯科診療所の熊谷崇先生です。

熊谷先生は予防歯科の重要性に早く気づかれ、その啓蒙に力をいれてきた日本における予防歯科のパイオニアの歯科医師の方でもいらっしゃいます。

そして、この記事の平田牧場の新田嘉七さんは現在、会社(平田牧場様)に「予防歯科助成金」という制度までつくられているそうです。

これは社員の方が歯科の定期健診を受ければ、年間15,000円を会社が助成するという制度です。

ご自分でも歯科検診を継続してきた方だからこそ、社長として社員を想う気持ちの詰まった制度ですね。

これから、こういう会社が日本中に増えそうです!

まとめ

今回お話したように、子供に正しい歯磨きや歯の定期健診を徹底することは、子供が一生健康でい続けるためにとても大切なことです。

私たち親ができる子供の未来への最高の投資であり、プレゼントと言えるでしょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

丹羽浩之

兵庫県神戸市在住の私(丹羽浩之)は仕事では長年、全国の歯科医院と接点を多く持ってきており、2児(小学生と幼稚園児)の父親でもあります。
そして親として、子供たちに健康の大切さを伝え、歯を大切にする習慣を自立的に身につけてほしいと願っています。

なぜならお口は「食べられる、話せる」からはじまり、「歩ける、話せる」にも影響し、また全身の病気や慢性疾患になるリスクも大きく変わってくるためです。
しかし、こんな大事なことを「どこからもきちんと教えてもらう機会がない」、これが日本の実情です。

仕事柄、私を知る人から「(自分の地域で)おすすめの歯科医院はないですか」「どうやって自分にあった歯科医院を選べばよいですか」といった相談を数知れず受けてきました。
そして、ほかにも同じような悩みを持っている人たちが大勢いるのではないかと思いました。

そこで、私のこれまでの経験値を含めた情報は、そのような方々のお役に立てるのではと思いこのサイトを立ち上げることにしました。
また、このサイトでは予防歯科の情報提供のあり方として、「患者の立場」を最も大切に考えています。

仕事では歯科医院の経営コンサルタントとして15年間で500件以上の歯科医院に関わってきました。
その中で、日本人の予防歯科(定期健診)への関心の低さが、常に課題としてありました。

予防歯科に通う習慣がある人とそうでない人とでは、人生における生活の質が全く違ってくることを医院に通う患者さんを通じて知りました。
なお、このサイトで医学的に正確な情報が必要な部分については、私が15年に渡って信頼を築いてきた歯科医師、歯科衛生士、医師の方々にご監修して頂いたり、引用元を明記した上で情報提供します。