人気アイドルを起用した歯磨き粉のCMで、「歯ぐきの中の汚れがごっそりとれる!」というものがあります。
このCMを見てみると、まるでこの歯磨き粉で歯がキレイになり、歯石がごっそり取れるという印象を受けます。
このような効果がある商品が存在しているのに、なぜ人は歯科医院に行く必要があるのでしょうか?
歯磨き粉のCMの「目的」とは
そもそもCMの目的とは何かと言えば、「一個でも多くその商品を売りたい」というものがあります。
ですから、その商品を売るためにはインパクトが必要なわけです。
映像もインパクトのあるものを出す必要があるので、結果的に、冒頭でお話したような「歯石がごっそりとれる」といったイメージを与えるCMができてしまいます。
ですが、考えてみてください。
歯ぐきの中の汚れが、なぜ歯磨き粉でごっそりとれてしまうのでしょうか?
本当にそんなことがありえるのでしょうか?
歯石が歯磨き粉だけでは落ちない理由
歯石は、歯磨き粉だけで落とすことはできません。
なぜなら、歯石というのは文字通り「歯の石、歯にくっついている石」のこと。
歯の汚れである歯垢(プラーク)が石灰化した状態です。
硬く石灰化したものが、歯磨き粉や歯磨きといった普段のお手入れで取れるはずはありません。
歯磨きで無理にゴシゴシと力を入れてブラッシングすると歯が傷ついてしまうため、プロに歯石を除去してもらう必要があります。
実際に歯科医院では、歯科衛生士さんが「スケーラー」という、先の尖った専門器具を使って歯石を削り落としています。
プロが専用器具を使って30分から60分かけてしっかりと取るものが、歯磨き粉で簡単にとれるわけがないんです。
CMには聞こえのいい言葉やインパクトのある映像がありますが、騙されてはいけません。
歯石予防に効果的な方法
歯石は放っておくと歯周病、むし歯、口臭などのリスクを高めてしまうため、予防が大切です。
ここでは、歯石予防に効果的な方法をお教えします。
高価な器具や高額な治療は必要ないので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
Ⅰ)毎日の歯磨きや歯間ブラシといった手入れ
皆さんが毎日行っている歯磨きは、できてしまった歯石を取り除くことはできませんが、歯石を予防するためには効果的です。
仕上げに歯間ブラシやデンタルフロスを併用すると、歯磨きだけでは磨きにくいところも手入れができますよ。
磨き残しやすい場所…奥歯、歯と歯の間、歯ぐき(歯肉)との境目、下の前歯の内側、上の奥歯の外側
Ⅱ)2~3か月に一回、歯科医院に通ってメインテナンスをして、かたくなった歯石をとってもらう
毎日の歯磨きを行っていても、どうしても磨き残しなどが原因で歯石は溜まってしまいます。
そのため、2~3か月に一度は歯科医院でメインテナンス(定期検診)を受け、プロに取ってもらいましょう。
定期的に診てもらうことで、むし歯や歯周病といったお口のトラブルを早い段階で見つけることができるといったメリットもあります。
皆さんが毎日行っている歯磨きや歯間ブラシといった手入れと、歯科医院でのメインテナンス。
歯石予防において、この組み合わせに勝てるものはありません。
日本はこれからますます長寿社会になるため、歯の大切はさらに増してきます。
特に50代以降は歯にトラブルを抱えやすくなってきますし、それ以降の時間も長くなってくるわけですから、ぜひこの機会に歯石予防の基本に立ち返ることをお勧めします。
まとめ
- CMはインパクトが必要なので「これだけで十分」だという風なイメージを植えつけることがあるが、実際はそんなことはない
- 予防歯科に大事なのは2~3か月に一度の歯科医院によるメインテナンス&毎日の歯磨きの組み合わせ
- 歯石というのは「歯の汚れが固まって硬くなったもの」なので、歯科医院でしっかりと取ってもらうことが重要
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